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住宅ローン、低金利時の繰り上げ返済にメリットはある?

20年前ほどに購入したマンションのローン、まだ10年近く残っています。ローンの返済が終わらないとなんとなく落ち着きません

購入当時は金利が高かった(3%~4%)ので、繰り上げ返済をするご家庭も多かったような記憶があります。しかし最近は低金利のせいか、以前ほど繰り上げ返済の話を聞かなくなった気がします。

低金利のときの繰り上げ返済、実際のところどれくらいのメリットがあるのでしょうか。



繰り上げ返済とは

繰上返済とは、毎月のローンの返済額とは別に、借入額を一部、または全額を返済することの総称。毎月の返済額は利息を含んだ額ですが、繰り上げ返済する場合は全てローンの元金に充てられるので、その分にかかる利息を省くことができます。

かつては繰り上げ返済にかかる手数料も結構な負担でしたが、最近はどの金融機関でもずいぶん安くなり、中には無料というサービスもあるほど。毎月の引き落とし時に指定残高を口座に残して、あとはすべて自動的に繰上返済をするというユニークなサービスもあるようです。

繰上返済には、返済分でローンの期間を短くする「期間短縮型」と、期間は変えずに返済額を減らす「返済額軽減型」とがあります。それぞれの特徴を見ておきましょう。

期間短縮型

「期間短縮型」で繰上返済をする場合は、毎月の返済額は変わりません。その代わり返済期間が短くなるため、短縮された期間に支払う予定だった利息を節約することが出来ます。通常繰上返済というとこの「期間短縮型」を選ぶ場合が多いようです。ローン残高の多い早めのタイミングで繰り上げ返済するほどメリットも大きいと言えます。

返済額軽減型

「返済額軽減型」は当初予定したローンの期間は変えず、繰り上げ返済以降の毎月の返済額を減らすものです。家計にゆとりができるメリットがありますが、同額の繰り上げ返済をした場合のトータルの返済金額は「期間短縮型」よりも多くなります。


繰り上げ返済のデメリット

繰り上げ返済によってもちろん大きなメリットがありますが、デメリットも無いわけではありません

貯蓄が減少する

繰り上げ返済をするということは、それだけ手持ちの現金が減るということ。今急いで返す必要のない繰り上げ返済に大きなお金をまわすのは、ある意味危険かもしれません。家の修繕費や子どもの教育費増など、ゆくゆく必要になると予想されるお金はきちんと計画し、その分を手元に残しておきましょう。

また、家族の病気やリストラなど、予定外の突然の出費が発生することも。会社員なら生活費の半年分程度、自営業なら1年程度資金を手元に置くことも考えた方が良いでしょう。

団体信用生命保険のメリットが減る?

住宅ローンを組むときにほとんどの人が加入する「団体信用生命保険」。万が一、ローンの債務者が亡くなってしまった場合、残高が完済される保険です。但しこの保険、ローン残高の多少にかかわらず、あくまでも住宅ローンの残高が支払われる金額となります。

もしもの時にローン残高が完済されることに変わりありませんが、繰り上げ返済をしていなければ手元に残っていたはずの現金は、支払い済のローンとして消えてしまうことになります。頭に入れておいた方が良いでしょう。

住宅ローン減税のメリットが減る

住宅ローン減税とは、残りのローン期間が10年以上ある場合に、ローン残高の1%に当たる金額を所得税から控除してもらえる仕組み。(一般住宅の場合、最大4,000万円)もし繰り上げ返済によってローン期間が10年を切ってしまうと、その年からローン減税は受けられなくなってしまいます

特に低い金利でローンを組んでいる場合、住宅ローン減税の適用期間は繰り上げ返済をしない方がお得な場合もあるのです。

期間を短縮すると延ばせない

「期間短縮型」の繰り上げ返済を行った場合、その後返済が厳しくなって期間を元に戻そうと思っても出来ません。これも知っておいた方が良いポイントです。

さいごに

20年前と比べると金利は大きく下がっているし、住宅ローンの控除も大きくなっていることがわかりました。借りる側にとっての負担は、昔よりかなり軽くなっているようですね。

一方、住宅の材料費や人件費の上昇によって、物件自体の価格は高騰しているかも。その分昔よりも多額の住宅ローンを組まなくてはいけない傾向のようです。別の金融機関で借り換えを行った方がメリットがある場合もあります。

折に触れ試算して家計を見直し、リスクも含めて返せる金額を定期的に把握しておく必要がありますね

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