おいしいおはなし

同居で別世帯にするわけは?そのメリットとデメリット

職場のSさんは、お父さんと
奥さんと学生である息子さんとの
四人家族です。

お父さんが数年前から認知症で、
今度、介護施設へ入所することに
なりました。

そのことをきいて、
上司のRさんが
世帯分離の手続をした方がいい。」
と勧めました。

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世帯分離とはいったい何なのでしょうか。
そのメリットとデメリットは何でしょう。

同居の世帯分離とは何か

世帯分離とは、
ある世帯を分割して
別世帯にすることです。

何を目的に世帯分離を
するかといえば、
経済的な負担の軽減です。

介護保険料、国民健康保険料、
高額医療費などは世帯単位
考えられる制度になっています。

たとえば、同じ所得で同じ家族構成の
AさんとBさんがいます。

Aさん、Bさんともに母親の
収入は国民年金のみで78万円です。

ふたりとも母親を扶養家族
していました。

このふたりの母親が認知症になり、
同じ介護施設に入所しました。
同じ要介護度です。

AさんはBさんの負担している
介護費用が、自分の半額以下だと
知って驚きました。

いったい、なぜそんなことに
なったのか、
理由は世帯分離です。

世帯を分離すると負担額が減る理由

高額介護サービス費の
自己負担限度額は所得に応じて
4段階に分かれています。

最も負担額が少ない
第1段階・第2段階の人は15,000円、
最も負担額が多い
第4段階の人は37,200円です。

この負担額を決める条件に、
世帯が関係してくるのです。

第1段階・第2段階になるためには
「世帯全員が住民税非課税」
「所得合計が80万円以下」が条件です。

介護を受けている本人の収入が
国民年金の年額78万円だけなら
住民税は非課税で、第2段階に相当します。

しかし、子どもなどと同一世帯で
その人に住民税が課税される収入が
あると、第4段階になります。

このことを考えてBさんは
介護施設入所時に世帯分離届をして
母親を別世帯にしました。

こうすると母親の世帯収入は
国民年金収入78万円のみで、
第2段階の自己負担額ですみます。

介護や医療を受けている本人の
収入は同じでも、世帯が同じか
どうかで負担額が大きく変わります

世帯分離のデメリットも考えておく

メリットが大きいように見える
世帯分離ですが、
デメリットもあります。

そもそも、介護や医療を利用する
本人の所得が高く、住民税が課税されて
いればあまり意味がありません。

扶養手当、自動車税などの各種軽減措置、
所得税、住民税の医療費控除などは
負担が増えることになるかもしれません。

家族構成、勤務形態、
住んでいる自治体の制度
などによっても変わってきます

単純に同居で別世帯にすることが
メリットがあるとは言えないので、
よく調べることが大切です。

世帯分離は届出によって、
いつでもできますし、
元に戻すことも可能です。

終わりに

Sさんは、いろいろ調べ、
経験者のアドバイスもきいて
世帯分離することにしました。

そうすれば、負担が軽くなり、
介護サービスの内容を充実させる
こともできます。

介護や医療のことだけでなく、
制度を知ることも大切だと
あらためて認識したのでした。

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