結婚を機に、お勤めの会社を退職される女性も、
少なからず、いらっしゃることと思います。
そういう場合に気になるのが、退職後の失業保険。
「寿退社だから、失業保険はもらえない」
と勘違いしている人も多いですが、
それは専業主婦を決め込んでいる、場合だけです。
来月に結婚退社を控えた、同僚のAさんが、
総務のMさんに、相談しています。
「結婚退職でも、失業保険はもらえますよね?」
「はい。結婚退職でも条件が揃えば、
失業保険の給付を、受けることができますよ。」
失業保険受給の条件
一般的に失業保険と、呼ばれるものは
「雇用保険の基本手当」のことを指します。
雇用保険の被保険者が、失業状態になり
再就職先を探している場合に、支給されます。
失業の理由は問われませんので、
結婚退職であっても、当然受給資格はあります。
ただし、失業手当を受給するには、
2つの条件が必要です。
1.就職する意思があるにも関わらず、
失業状態であること。
2.離職するまでの2年間で、
雇用保険に加入していた月が
通算して12カ月以上あること。
「つまり、結婚後も働きたいという意思があることが
給付の条件です。
だから、『しばらく専業主婦を楽しんでから働きたい』
という人は、対象外となります。
結婚後も働こうと考えていて、
仕事が見つかれば、すぐに働けることが、
支給条件となります。
ところで、Aさんは結婚後、
引越しされると、いうことですね。
その場合、『特定理由離職者』として
認められる可能性も、ありますよ。」
「『特定理由離職者』って何ですか?」
特定理由離職者とは
倒産・解雇等、会社都合により退職を余儀なくされ、
『特定受給資格者』として認定された人は、
通常より多めの給付日数が、付与されることは
良く知られていますが、
これに該当しなくても、ある一定の条件を満たす人
については、『正当な理由のある自己都合退職』
つまり、『特定理由離職者』として、
有利な条件で、失業保険の給付を
得ることができます。
これに認定されるための条件の一つに
『結婚などで住所が変更になり、
会社への通勤が困難になった』
という項目があるのです。
通勤が困難の目安は、
『通常の方法での通勤で、
往復通勤時間が、概ね4時間以上となる』
とされています。
「そうなんですか。
ところで、特定理由離職者になると、
どんなところが有利なんですか?」
『特定理由離職者』の有利な点
1.『給付制限』期間がない
一般の退職では、7日間の『待期期間』の後、
3カ月間の『給付制限』がつき、
この間手当が支給されません。
特定理由離職者は、『給付制限』期間なしに、
手当てを受け取れます。
2.被保険者期間が、短くても受給できる
一般の受給資格は
「離職するまでの2年間で、
雇用保険に加入していた月が、
通算して12カ月以上あること」
という条件ですが、
特定理由離職者になれば、
「離職するまでの1年間で、
雇用保険に加入していた月が、
通算して6カ月以上あること」
となります。
「すぐに、失業保険がもらえるというのは
有難いですね。
特定理由離職者になるには、
どんな手続きが、必要なんでしょう?」
『特定理由離職者』と認められるには
・結婚したこと。
・配偶者と同居する為、転居したこと。
・従来の勤務先が遠方となり、
通勤困難となった為に、離職したこと。
この3点が、「事実として起こっている」ことが、
客観的に、証明できなければなりません。
気を付けなければならないことは、
『退職』から『住所の移転』までが、概ね1ヶ月以内で
なければならない、とされていることです。
「例えば、元々結婚したら退職しようと
思っていた人が、さっさと会社を辞めて、
半年くらい結婚準備してから、引っ越して同居。
というような場合、
結婚で転居したから退職したのか、
単に自分の都合で退職したのか、
ハローワークの人には、
判断する材料が、ありませんよね?
そこので、概ね1ヶ月以内というのを、
目安にしているようですよ。
引越しのタイミングには、
気をつけた方が、いいですよ。」
「分かりました。
ところで、ハローワークには
どんな準備をしていけば、いいんでしょうか?」
ハローワークに持参するもの
1.離職票1・離職票2
2.運転免許証など本人確認証明
(氏名変更後のもの)
3.本人の銀行預金通帳
(氏名変更後のもの)
4.認印
5.婚姻届受理証明
(婚姻届を出した市役所が、発行してくれます。)
6.世帯全員分住民票
(市役所で発行してもらいます。
本人分と配偶者の方の情報が必要です。)
1~4は、受付の為に必要なもの
5・6が特定理由離職者であることを、
証明する物になります。
つまり、
婚姻届受理証明で、結婚したという事実と日付が
確認できます。
世帯全員分住民票で、配偶者となる方が転居先に
居住されていて、あなたが結婚し、同居する為に
転居した事実と、その日付が確認できます。
「何れにしても、特定理由離職者に該当するか否かは、
転居後の住所地を管轄するハローワークで、
判断されることになります。
ハローワークにより、解釈や運用が異なることも
あり得ますので、確認されてみた方がいいですよ。」
終わりに
「1年間働いていなかったから、
失業保険はもらえない・・・」
とあきらめていた人も、
結婚による引越しが、退職の理由であれば
失業手当が、受給可能になるかもしれません。
ぜひ、詳細をハローワークにお問合せしてみることを
お勧めします。
最近のコメント