お店で野菜を見ていると、
たまに「有機栽培」とか
「グリーンファーマー」とか
「エコファーマー」とかの表示に出会います。
「有機栽培」って、それだけで、
なんとなくおいしいような、気分になります。
そして、なんとなく高価な気持ちにも。
そんな雰囲気しか、わからないんですが、
具体的には、どういう物なんでしょう?
世界各国では、それぞれ基準が違うようなので、
今回は、日本の場合で進めていきます。
有機栽培のガイドラインは?
JAS(日本農林規格)で、決まっています。
簡単に言うと、化学農薬、化学肥料を
3年以上使っていない農地、で収穫された野菜です。
日本が勝手に決めたかというと、実はそうでもなく、
FAO(国連食糧農業機関)、WHO(世界保健機関)が、
合同で作った食品規格(CODEX)に、
基づいて決められています。
基準を決める時は、
「客観的な決まり」が必要なんですね。
なお、化学農薬、化学肥料を、3年以上使っていない
という判断は、このCODEXの規格にのっとっています。
とはいっても、
「農産物に、重大な損害が生ずる危険が、
急迫している場合(中略)
効果的に防除することが
できない場合(JAS規格)」は、
指定された農薬を使うことが、許可されています。
どんな時に農薬を使うの?
JAS認定された畑の近くで、
- 有害な動植物が発生してしまった
- 今までの経験から、
高い確率で、認定の畑にも被害が予想される - これを、そのままにしておくと、認定の畑で、
農産物に、多大な被害が出るのが予想される
この条件が、そろった時です。
なかなか、頻繁には、
起こりそうにない、条件ですね。
JASマークは勝手に使える?
登録認定機関の認定を受けず、
勝手に、JASマークを使ったりすると、
1年以上の懲役、
または100万円以下の罰金が課せられます。
また、JASマークを使っていないのに、
「有機」と表示すると、
表示の除去と、販売の禁止が命令されます。
命令に従わない場合は、
50万円以下の罰金がやってきます。
もちろん、認定も無料では行えません。
生産規模と認定機関によりますが、
初回申請で、20万円以上かかる場合も。
それなりの初期投資と覚悟をもって、
「有機栽培」と、銘打つことができるんですね。
化学肥料って?
肥料は大きく分けると、
- 無機質肥料 = 化学肥料
- 有機質肥料
の2つに分かれます。
無機質肥料(化学肥料)は、
自然界に存在する鉱石など無機質な原料から、
化学的に作られます。
肥料は基本的に、窒素、リン酸、カリなので、
それを抽出したり合成したりします。
鉱石を削り取るだけで、
肥料になるものもあります。
有機質肥料は、植物や動物から出たもの、
又は、そのものです。
例)
なたね油粕、魚粕、骨粉、
牛ふん堆肥、樹皮堆肥など
「有機栽培」に使える肥料と農薬は?
有機農産物:
「化学的に合成された肥料
および農薬の使用」を、基本的に避けたもの。
肥料
ガイドラインでは、肥料が、
「有機」か「無機」かについては、
まったく決められていません。
例)
「炭酸カルシウム」→化学的に合成された物→使えない
「炭酸カルシウム」→天然鉱石を砕いた物→使える
農薬
- 殺菌剤:無機硫黄剤、無機銅、無機銅・硫黄、
炭酸水素ナトリウム・銅、天然由来物質、微生物 - 殺虫剤:天然由来物質、フェロモン、天敵、微生物
天然由来物質の利用が、多くなっています。
特別栽培って?
「有機栽培」は敷居が高い!という場合は、
「特別栽培」というものが、あります。
こちらは、国際的なものではなく、
日本国内で通じる話です。
特別栽培農産物:
- 化学肥料を、その農産物が生産された地域での、
通常使われている量の、半分以下で栽培したもの - 化学合成農薬を、その農産物が生産された地域での、
通常使われている量の、半分以下で栽培したもの
この2つの条件を、満たしたものです。
各地域によって、
通常使われている肥料と、農薬の量というのも、
それぞれ違うので、
「その地域で、頑張ってますよ!」
というアピールが見えて、
わかりやすいような気がします。
昔は、「減農薬栽培農産物」、
「減化学肥料栽培農産物」、「無農薬栽培農産物」、
「無化学肥料栽培農産物」という表示がありましたが、
ややこしいので、2004年4月に
「特別栽培農産物」に統一されました。
「特別栽培農産物」の表示は、以下になります。
- 節減対象農薬(減少割合)
- 化学合成農薬の使用or不使用
- 化学合成肥料の使用or不使用
(使用した場合は、その割合)
そういえば、
ピーマンとかの、袋に入っている野菜には、
こういう表示がありましたね。
もっと気を付けて見ると、
生産者のみなさんからの、
いろんなメッセージを、受け取れそうです。
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